完全予約制・試乗制限・ASK について、ポルシェ専門店の本音とは。
良いポルシェほど、簡単には売りません。

車に魅せられた一人だった

こんにちは。S-LINE AG 代表の亀田です。私たちは横浜で、996、997、986、987といった初代水冷ポルシェ(6系7系)を専門に取り扱っています。あの時代のポルシェが好きで、ただそれだけの想いから始まったS-LINE AGも、本当にありがたいことで、気がつけば全国のたくさんの方々に支えていただけるようになりました。
私はこのブログを読んでくださる皆様と同じで免許を取る前からとにかく車が大好きでした。若い頃は仕事が終わったあと、自分の車をいじり始めると気が付けば朝になっていることも珍しくありませんでした。週末にどうしても走りたくて、眠い目をこすりながら仲間と工具を持ち愛車のそばにいたことを今でもよく覚えています。
気が付けばこの業界に入り、約24年が経ちました。
数え切れないほどの車、ポルシェを見て、触れて、直して、販売し、多くのお客様と出会ってきました。どんなに良い車でも、売ることだけが目的になってしまえば、お客様は幸せになれません。逆に、車とお客様に真剣に向き合うお店であれば、その一台はもっと価値のあるものになります。その経験の中で私が学んだのは、真面目なお店の大切さです。そして、良い車というものは数字だけでは語れないということでした。今日は、そんな私たちが完全予約制・試乗制限・ASKというスタイルを続ける理由についてお話ししたいと思います。
お客様から時々こんなご質問をいただきます。
「予約しないと見られないんですか?」
「試乗はできないんですか?」
「ASK(応談)ってなんでですか?」
たしかにそう思われるのも無理はありません。なぜ、私たちがなぜこのスタイルを続けているのか。
予約制って敷居が高くないですか?

「予約制」と聞くと敷居が高く感じる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、実は予約制のお店やサービスは私たちの身近にたくさんあります。
人気のレストランや寿司店はもちろん、美容院や歯医者さん、住宅展示場、高級時計店、不動産の内覧なども予約制が一般的です。そしてポルシェが放つオーラが敷居を高く見せてしまう時があります。それがまさにポルシェの魅力なんですけど。それでも、私たちはいたずらに敷居を高くしたいわけではありません。
むしろ逆です。
それはお客様を選ぶためではなく、一人ひとりに十分な時間を確保するためです。せっかくご来店いただくなら、しっかり時間を取ってご案内したいと思っています。ポルシェ6系7系を検討されるお客様は、単に車を見に来るわけではありません。
「維持費ってどれくらいですか?」
「壊れやすいところはありますか?」
「初めてでも乗れますか?」
「今買っても部品供給は大丈夫ですか?」
必ずこういったご質問があります。
そして実は、そういった話の方が車を見る時間より長いことも珍しくありません。私たちは車を販売するだけではなく、その後のポルシェとの付き合い方までお伝えしたいと思っています。
だから予約制にしています。購入意思の強いご予約の方としっかりお話しをしていても、飛び込みの方とのバッティングで接客純度が下がってしまう。そのような事が出来るだけ無いように、一組一組のお客様と、落ち着いてお話しできる時間を大切にしたいんです。
試乗できないんですか?

これも本当によく聞かれます。
もちろん購入をご検討いただいているお客様の最終確認として必要な試乗は行っています。
ただ、「一度ポルシェに乗ってみたい、乗り味はどんな風ですか」という理由だけでの試乗はお断りしています。少し正直な話をすると、専門店が誰にでも自由に試乗を認めてしまえば、「無料でポルシェに乗れる場所」になってしまい、当然自分の車ではないので荒く乗る方もいらっしゃいます。30年前の極低走行車や綺麗に仕上げたポルシェを興味本位でお乗り頂けないのはご理解してくださる方も多いいはずです。新車ディーラーにはお客様が実際に買うものではない試乗車がありますが、私たちが扱っている車は違います。
ショールームに並んでいる一台一台が、そのままお客様へお渡しする商品です。例えば数キロ走ったから価値が下がる、という単純な話ではありません。
新車のように代わりが効く存在ではなく、一台一台に異なる歴史があります。だからこそ私たちは、試乗による消耗や飛び石、事故などのリスクも含め、車両の価値を守ることを大切にしています。
そして何より、その車に刻まれる時間があります。未来のオーナー様だけが刻むはずだった時間を、私たちの都合で増やしたくない。そんな気持ちがあります。だから試乗は購入を前提とした最終確認として考えています。その場合は担当セールスが運転をさせて頂き助手席にて試乗させて頂いております。(試乗された殆どの方にはご成約いただいております)また、車両によってはナンバーが付いていない場合もあり、そのため購入をご検討いただいているお客様であっても、登録状況や法令の観点から試乗をお断りする場合があります。
ご理解いただければ幸いです。
なぜASK(応談)に?

これもよく聞かれます。
たしかにASKと書かれていると少し身構えてしまいますよね。
ですが、例えば同じ996カレラでも、生産台数の少ない限定車、整備履歴やオプション、走行距離、保管状態によって価値は大きく変わります。場合によっては数百万円違うこともあります。中古車、とくに私たちが扱うような初代水冷ポルシェは、年式や走行距離だけで簡単に価値が決まる世界ではありません。
ネット上では価格だけが独り歩きしがちですが、本当に大切なのはその個体の状態です。どんな整備を受けてきたのか。どんなオーナーに大切にされてきたのか。今どのような状態なのか。そういった部分を知っていただいた上でお話ししたい。その結果として中古市場にデーターが少ない車にはASKという形を取る販売店は多いと思います。
「The Last Analog ─ 最後のアナログ世代」

私自身、車が好きでこの世界に入り、気が付けば24年が経ちました。その中で変わらなかったのは、「好きな車を、好きな人へ届けたい」という想いです。完全予約制も、試乗制限も、ASKも、一見すると不便に見えるかもしれません。ですが、その一つひとつには理由があります。私たちはこれからも、一台一台のポルシェと真剣に向き合いながら、本当にこの車を好きになってくださる方へ橋渡しをしていきたいと思っています。
996、997、986、987。
言葉だけでは語れない魅力が残る、最後のアナログ世代。そんなポルシェと出会う場所として、これからもS-LINE AGを続けていきます。

